こんにちはSHIGEMONです。
光造形タイプの3Dプリンターの運用の中で必要となってくる洗浄工程について、今の自分の環境をまとめました。
最近は水性レジンも増えてきたのでいずれはそちらがメインになるのかと思われますが、油性レジンでのお話です。
洗浄方法はいろんな方法があるかと思いますが、今回は株式会社エヌエスエスさまよりアドバイスを頂きましてそちらを参考に洗浄アイテムを揃えてみました。
関連記事:【3Dプリンター】光造形機での失敗例 4選 原因と対策 / FLASHFORGE Hunter
こちらが今自分が使っている洗浄セットです。
これらを使って洗浄しています。
それぞれのアイテムを見ていきます。
まずは左下から。
バットの上に並んでいるのは左から100均で購入したナイロン筆、オルファのスクレーパー、そしてAnycubic Photonに付属の樹脂製スクレーパーです。
バットは料理用のものです。どこで購入したものかはわかりませんが同様のものでしたら代用できると思います。
ナイロン筆は造形物の予洗いに使用します。
だいたいの光造形機にはスクレーパーが付属していますがオマケ程度ですのでオルファのスクレーパーを別途購入して使っています。
Photonのスクレーパーはバットの底面を触る際に使っています。
個体差はあるかと思いますが意外と当たりが悪くなくFEPフィルムへのダメージは少なそうです(あまり良くないと思いますが…)。
このスクレーパーのためにPhotonを買う必要はありませんので料理用のシリコンヘラなどで代用できるかと思います。
写真右に見切れているラップをバットに敷いてからその上で作業しています(後述)。
続いてマイスコ、マイスコニト…、いわゆるゴム手袋です。
Amazonで安かったものを購入しましたが医療用でも使われているパウダーフリータイプでした。
レジンはアレルギー発症の恐れがありますので肌に付けるのはNGです。
必ず手袋を着用する必要があります。
続いて予洗い用のタッパとピンセットです。
タッパの中にはIPA洗浄液(IPA 4 : 水 1)が入っています。
そしてあると便利な超音波洗浄機です。
昔メガネ用の小型洗浄機を購入していたのですが、容量と機能を求めてより良いものを購入しました。
前面には温度と時間の設定ボタンがあります。
光造形の洗浄の際は温度30〜40度の設定が良いそうです。
そして超音波洗浄機の中にはビーカーが入っています。
生まれて初めてビーカーを買いました。
容量は500㍉㍑でAmazonで評価が高いものでした。
超音波洗浄機のプール部分に水を入れ、IPA洗浄液が入ったビーカーをその中に入れます。
これで振動がガラスを通じることでビーカー内で洗浄ができるということです。
目次
洗浄工程 (予洗い〜本洗い)
作業中の画像ではありませんが簡単に洗浄の流れです。
造形されているプラットフォームを外してラップを敷いたバットの上に置きます。
そして造形物をオルファのスクレーパーを用いて剥がします。
このスクレーパーは頑丈な上、先端の傾斜も鋭いため非常に剥がしやすいです。
(写真に映っているのはFLASHFORGE Hunterのプラットフォームです。
この機種のプラットフォームは凹凸のスジ彫りがされているのでスジに沿ってスクレーパーを入れないと傷が付きます)
写真にはありませんがラフトの下に潜り込ませて剥がします。
剥がした造形物をIPA洗浄液の入ったタッパに移し、ナイロンの筆で予洗い(1次洗浄)します。
スミに残っているレジンなどを筆で落とします。
この時にピンセットで造形物を抑えながら筆で洗浄しているのですが、金属製ピンセットだと造形物に傷が付くことがあるので必要に応じて樹脂製のピンセットを使用しています。
その後、超音波洗浄機で1〜2分の本洗い(2次洗浄)です。
本洗い後は表面に付いたIPAを流水で洗い流してから硬化させます。
IPAが表面に浸透していると揮発の際に造形物が割れる恐れがあるため水洗いしておくと良いそうです。
レジンにもよりますがサポート材を付けたまま硬化させるとレジンの収縮により、収縮したサポート材に造形物が引っ張られて形状が歪む可能性があります。
よって、本洗い後にサポートを除去しておくと良いみたいです(造形物にもよります)。
洗浄回数や分数などはあくまで目安です。
造形の形によっても変わるかと思います。
硬化に関してはレジンとの波長があったUVランプを使えば問題ありませんが、自分が買ったものはネイル用のもので長秒照射できないものでした。
最大120秒の照射しかできないため毎回ボタンを押し直す必要があります。
今使っているIPAはAmazonで購入したものです。
インディア・ペール・エールではなく、イソプロピルアルコールです。
缶で大容量のものを購入した方がお得かと思いますが保間場所の問題もありますので1㍑の小分けされたものを使っています。
そのまま使っても問題ありませんが脱脂しすぎるのもよくないそうで、さらにディスペンサーやタッパへ小分けにする際は約20%水を足して割っています。
これまでのカンタンな洗浄方法
ちなみにこれまで行っていた洗浄方法です。
100均で買ってきた3つのビンの中にIPAを入れ、1→2→3の順番で3回洗浄していました。
ビンに入れてシャカシャカゆすいでの洗浄です。
これでも問題なく洗浄できる(できているような気がしていた)と思われますが筆の併用はあった方が良いと思います。
あとはビンが小さいので大きめの造形物は大変でした。
今後普及するであろう水性レジン(水洗いレジン)
今後エヌエスエスさんから発売される水洗いレジンのサンプルです。
業界のレジンそのものが完全に水洗いレジンへ移行するのかはわかりませんが、手間だった洗浄工程を大幅にカットできるのと、アレルギーでレジンを扱えなかった方がものづくりなどに戻ってこられる良い兆しだと思います。
技術的なノウハウをご教示くださった株式会社エヌエスエスさんに感謝です。